「1/10スケール電動ツーリングカー」に限っても、各社様々な製品があり、どれがお薦めかと問われて、即答するのはとても難しい。
その中で、1)レース目的、2)入門者向け、3)比較的安価、現時点でこの3条件を満たすものは...
タミヤ製:TB Evolutionシャシーキット
しか無いと思う。
ノーマルは安価な入門グレードでサーキット走行にはオプション追加が必須だったり(実車のスケールモデル然としたボディ付きキットも概ねこれに該当する)、追加装備の有無で商品ラインナップが幾つか存在するものは判りづらく、追加装備で結局割高になるのがオチである。
タミヤ車の中でも、TB Evo.は、単一グレードでレースにも通用、セッティングが楽で走らせ易いという特徴がある。
またタミヤ製ならパーツはどこでも手に入り、車種間互換性も高く(性能より商売優先の感もあるが)、後々なにかと楽出来たりする。
唯一の欠点はTB-01から派生した限定製品で、在庫が無くなるとキットとしては入手出来なくなることだが、2001年3月現在、店頭での入手は容易だ。また、1/10GPカー"TG10"と多くの共通パーツで構成されているため専用パーツが少ないこと、その"お薦め度"が広く知られていること、から、生産が継続される可能性もある。
ヨコモ製:MR-4TC Pro
は、レースで最も実績のある、かつ非常に安価なクルマ(樹脂製シャシー)である。
MR-4TCとしては幾つかグレードが存在するが、Proを指定すれば追加装備は不必要だ。
が、ヨコモはレースに積極的なメーカーでマイナーチェンジが多く、設計が非常にタイトで工作に独特のコツを要求する。そのため1台目としてはどうか、と。
ピースアーク製:CE-4
も、(見ようによってはMR-4TCを上回る)レース戦績を誇り、入門グレードの存在しない判り易い製品。
カーボンFRPダブルデッキ+アルミ削り出しで高精度、製作は楽で狂いは少ないが、少々高価。
今では旧式化してしまったためお薦め出来ないが、ひと世代前ならタミヤTA-03Fは入門用としてはお薦めのモデルだった。
駆動方式・重量バランスから言って、一番扱い易く、曲げるのに工夫の要らないクルマ、それはFFである。操舵輪に予め荷重が載せてあり、且つそれが駆動輪を兼ねているからだ。これを4駆に発展させたら...作ってみると解るが、1/10RCで、フロントオーバーハングにモーターを搭載するのは大変なのだが、複雑なギアの組み合わせでこれを実現したのがTA-03Fである。
(このギアトレーンは、前後逆に車載することでRWDベース車へのコンバートが容易であるなど商業的にも画期的なものであったが、レース用としては駆動ロスが致命的に多かった)
CE-4のドライブトレーン...フロントミドシップ4駆...は、TA-03Fの遠い子孫にあたるのかも知れない。
余談ながら、以上は(TA-03F除く)全てミドシップ4駆である。
2駆はどうなのか?...FFやRR、MRは存在する。が、FRは皆無に近い。何故だろうか。
RCは実車と比べ、駆動機構が車体に対し「大造り」で、レイアウトする上で制約が大きい。
フロントオーバーハングにモーター(エンジン)を載んだ時点で、「フロントを素通りしてリアをドライブする」のが大変ムダな設計になってしまうのだ。
逆に、人が乗らない分、ホイルベース間へ載むには何の制約も無い。
...その結果、ミドシップ以外の選択肢が無くなってしまうのである。
無論、「製作不可能」では無いのだが、現在の規格(?)「1/10サイズの車体、540サイズのモーター、サブCセル×6本のバッテリー」でやるとしたら...結局TA-03の様に減速段が増えたり、ドライブシャフト(またはベルト)を理想的なバランスで配置することが出来ず、他のレイアウトとレースを戦うのはまず無理なモノにしかならないだろう。
当ページの主旨から言って、RCはツーリングカー(箱車)といえども、スケールモデルではない。ボディカウルもその観点で選びたい。
実車のスケールモデル的なボディには、レースを戦うには幾つか不利な点がある。
(特にタミヤ製に顕著)モールドが深いため、肉厚で重く空力的にも良くない上、ぶつけるとそこから破れる。概ねルーフ高が高く高重心で車幅も狭い。
カラーリングにしても...トップレーサーの使うボディは大概、ファイヤーパターン等、実車では恥ずかしくて出来ない?ド派手なものになっている。遠隔操縦のRCの場合、高い被視認性が必要だからだ。素人はそこまでやるのが大変なので1色塗りくらいで済ますことが多いが、いかにもありそうな色は人とカブるので、やはりひと工夫欲しくなる。
それに、RCのボディは、(特にタミヤ製以外で顕著)実車の名を冠していても、クルマのスタイリングとしてはどうせインチキだ。第一、スケール上、空力事情が全く異なる。また、実車と違いボディはカウリングに過ぎず、そのシャシーは「そのクルマ」では無いからだ。私のFF01Evo2も、FF01Evo2であってクサーラとかモデナとは呼ばない。この2台が同じジオメトリの訳は無く、当然、どこか形がヘンなハズだ。
実際、一部のメーカーは既に実車の名をモデル名とするのをやめている。全部が全部そうなってしまったら売りにくくなるとは思うが。
とかなんとか言って、私自身がスケールモデル的なカッコよさも捨て切れていないことは、これを見ればバレバレなのだが...しかし、基本の性能と被視認性は確保したつもり。モデルの実車がレーシングカーならば目立ち具合は悪くない。あとは、塗膜とステッカーで重くなり過ぎなければ。
「カッコよくないとやる気出ない」というレーサーは少なくないと思う。
ヨコモ製:アンディーズ ダッジストラトス \1,700前後
問答無用、定番中の定番。これか、これの流れを汲むボディを着て走ったことがない人はRCカーの空力について云々する資格無しと言っても過言ではない。
車がタミヤ車(TRF414/M除く)で、初めてなら、
タミヤ製:フェラーリF360モデナ \2,800前後
もお薦め。タミヤ製の中ではオープンレースに通用する数少ない銘柄。
プラモ等と違う独特の作り方があるので、全く初めての場合、説明書付きのタミヤ製が安心。予め開けられたマウント穴とカッティングラインも製作の失敗を少なくしてくれる。
ボディ購入の際は、シャシーに着せたいボディがフィットするか、ショップ等で確認すると良い。