タイヤの次に重要なのが、バネレートと車高のバランスだ。
バネの硬さは、
最低地上高
ホビー用キットは一般的に、サーキットよりも、駐車場や公園を走らせる前提で、標準セットを設定している。たとえオンロードモデルでも...そして、サーキット以外の路面は、1/10の車にとって、デコボコのダートもいいところ。グリップも無いに等しい。
キレイなサーキットなら、車高(最低地上高)は概ね5mmもあれば充分である。
バネレートの考え方
バネの強さは、バネ自体の絶対レートがそのまま反映されるとは限らない。
クルマの重量配分によって"同じ強さ"は変わってくるし、ショックユニット取付位置・角度によってレバー比も異なるためだ。
「バネがどれだけ"効く"か、は、実際に車載し・・・クルマを、ピッチ方向だけでなくロール方向にも、動かしてみなければ判らない」。
バネの強さは、絶対レートではなく実効レートで調整すること。
(詳細は「サスアライメント」参照)
リアのバネレートとショック長
セッティング開始時は、フロント柔らかく作りリアを先にセットすると良い。
RCに乗り心地は関係無い。ドリフトを楽しむので無ければ、基礎編で述べた通り、リアはなるべく硬くする。タイヤのスリップ限界まで、かつ、クルマのロールを完全に止めてしまうよりは軟らかく・・・
バネレートが決まれば、リバウンド量(自重で沈む量)も自動的に決まる。
最低地上高+リバウンド量、で最大地上高が決まる。これに合わせてショックストロークを決める。
蛇足だが、リバウンド量はゼロもあり得るし、リバウンドゼロ状態「以上」のバネレートも、当然あり得る。
実際、ハイグリップオンロードなら、リバウンドはごく少量で良いか不必要なケースがほとんどである。
リアが決まれば、実はバネのチョイスは大体終りである。
いくら「フロントを軟らかく」といっても、シャシーをガリガリ擦りながら走る人はいまい。
従って、この段階で、クルマは・・・
フロントのリバウンド量(バネレート)と車高
重量配分50:50、またはそれ以上RヘビーのMR/RR/RWDベース4駆は、フロントにリバウンドを取り過ぎてはならない。
Rヘビー車は自前の前輪荷重が足りずアンダーになりやすいため(Fブレーキで前輪荷重を増やせない2chEPのRCならなおさら)非常に軟らかくても良さそうに思える。
しかし、「F軟」にも限度はある。
アンダーやスピンに至らなくとも、荷重が弱いということはトラクションも弱いということだ。4駆の場合は特に、前後リバウンドストロークは前後等量(スリップ限界が許す限り少なく)が良い。
結果的に、前後バネレートもほぼ同じ(若干フロントが軟らかい)くらいで落ち着く。
Fヘビー車は例外的に、ハイグリップの場合、最大地上高が最低地上高の倍になるくらいの「F軟」が良い。
フロントの最低地上高はリア以下にするのが一般的だ。言うまでもなく、前輪荷重がかかりやすく、良く曲がるようにするためである。
リアと同じく、最低地上高+リバウンド量=最大地上高を決め、ショックストローク長を決定する。
軟らかくするとロールし過ぎる、硬くするとアンダー、どちらにするか・・・この場合、軟らかいバネにスタビライザーを組み合わせると効果が高い。
「F軟R硬」が通じない!
「F軟R硬」ではなく、逆・・・どうも、「F硬R軟」の方が走る・・・ケースに対しては、どうしたら良いのか。
ひとつには、路面が非常に低μである場合が考えられる。これは、これで良い。
「F軟R硬」は、ハイグリップ路面に対しフロントオーバーグリップを抜くセット。
低μ時にフロントを固めなければ曲がれないのは当然であり、問題無い。
しかし、グリップが充分にあり・・・特に、周りのクルマはちゃんと走れてるのに、自分だけやたらロールしている(そうしないと巻いてしまう)・・・場合。
これは、サスアライメントに問題がある。
前後バネレートバランス以外の要素で、クルマのロールバランス・グリップバランスを改善する必要がある。
あるいは、タイヤか駆動系に何かしらトラブルがある。