セッティング開始時、スタビライザーは外しておくのが望ましい。
スタビライザーは、ロール挙動そのものにバネを設けてオーバーロールを抑えるためのものだ。
オーバーロールの主な原因には
乗用車がスタビライザーを装備するのは、乗り心地や使い勝手のために意図的に1)〜4)を持たせているためだ。(乗用車は、車高はある程度高い方が使い勝手が良い。内部スペース確保のためのショートスパンサスアームはロールセンターを高くする。ロールセンターが高め・・・例えばアクスル高さ付近・・・にあると、伸び側ストロークを取らないとクルマはロール出来ない。伸び側ストロークをとる、乗り心地を良くする、ためには、バネレートを軟らかくしなければならない。)「実車にはたいがい付いているから、あって当然、無ければ走れない」という考えは迷信なので、とりあえず捨てること。
単純に「スタビを付ければインリフト転倒が無くなる」と思っている人は多いが、リジットに近いバネレートでもひっくり返るようなケースに対しては、スタビは殆ど効果が無い(リジットならスタビは動かないから、当たり前だ)。
「バネレートの前後配分」でも述べたが、車体のロールは「リジットであったなら対路面摩擦として消費される筈だったエネルギーが変換されたもの」であり、タイヤへの負荷を軽減させる働きがある。
従ってこの場合「まずバネレートを落としてみる」のが正解・・・ロールさせた方が横転しにくくなる!・・・そういうこともあるのだ。
速度とグリップに応じて、最適ロール角を得るためのバネレートではオーバーロールを押さえ切れない場合はスタビライザーも大変有効である。が、その目的・効果からいって、他の要素を決めないうちに装備することは、良いセッティングを出しにくくするだけである。
同様の理由で、サスアームロールリミッタの類(ツイックスクリュー等)も、イキナリは使わないのが正解・・・「規制するモノが先」では本末転倒・・・だと思う。